Wednesday, October 10, 2012

無関心の罪

 今朝ほどからツイッターで「安倍氏の自民党支部「政治資金でキャバクラ」福岡や下関で16店30回にわたり70万3650円を支払った。」と話題になっていた。東京新聞や中国新聞に記事が載っていたらしい。

 僕は基本的に自民党に復活してもらいたくないし、小泉郵政選挙の片棒を担ぎながらも自身が総理になると造反離党組を次々と復党させた安倍晋三は人として嫌いである。だが、そんな僕が冷静に考えても、この記事で安倍晋三を批判する気にはなれない。まず、選挙の時にもほとんど地元入りしない安倍晋三が、日頃の地元対策で下関や福岡のキャバクラやスナックに行くか? まず行かないだろう。だとすればこれは安倍自身ではなく地元の秘書が有権者を連れて行ったとみるのが相当だろう。しかも30回で70万ちょっとだ。1回あたり2万円程度。割り勘の1人あたりならともかく、平均3人で行ったとしても1回1万しない。そういうところに安倍晋三が行くとは思えない。つまり、これは安倍晋三の下の話ではないと見るのが妥当ということである。

 そして、こういうことが選挙に必要だということでもある。自民党支部の関係者は「政党活動に必要な情報収集、意見交換を行う中で、関係者に応じてさまざまなシチュエーションが必要だった」と説明したそうだ。要するにそういう理由を付けながらもキャバクラやスナックで飲ませて欲しい「有権者」がいて、その人たちがそれなりに地元で票を取りまとめる力を持っていて、キャバクラに連れて行くと「さすが安倍先生、話が分かる!次の選挙も安倍先生で決まりだ」などと本気で思っているのだろう。それは安倍晋三の不徳ではない。おそらく他の政治家のところでも多かれ少なかれあることだと思う。無いとしたら、女性議員か、あるいは寄付も集められず政党交付金も満足に配分されずにカツカツの活動を必死でやっている議員かのどちらかだ。もちろん、女性議員であっても秘書がそういう対策をやっている可能性は否定出来ない。

 つまり、そういうさもしい「地域の有力者」たちによって選挙は動かされているのである。それを許しているのは誰なのか。そういうことをあまり追求しないメディアか?いや、そうではないと思う。そういうことを許しているのは、政治に無関心な多くの有権者である。国政選挙でも投票率は7割いかない。3割の人は意思表示を放棄している。そうなると「キャバクラに連れて行くかどうかで投票先を決める」的な人の1票はどんどん重くなる。選挙対策の秘書がその票を無視できる訳が無い。

 選挙で何が変わるんだという諦めにも似た気持ちは確かにある。次の選挙が行なわれた場合、僕は誰に投票すべきなのか決めきれずにいる。非常に困った気持ちである。だが、だからといって棄権したら、それは怪しい意図をもった政治関係者の思うつぼなんだろうと思う。自分の1票が何かを変えるという明確な答えは見つからなくとも、それでも票を投じるんだという人の総意が、徐々にではあるけれども何かを変えるんだと思う。そうでなければ、いつまでたっても政治家にたかろうとする人たちは無くならないし、この手のスキャンダルは消えることはないと思う。