Friday, November 28, 2008

党首討論

 麻生太郎の表情が歪んでいる。口元が歪んでいるのはもうずっと前からのことだが、それにしても表情全体が歪んでいる。
 
 この歪み、おじいちゃんに怒られている孫のような印象を受ける。
 
 おじいちゃんのことは尊敬はしている。しかし本当に恐いのはおとうさんだから、おじいちゃんの怒りはとりあえず聞いているフリをしておけ、この時間だけやり過ごそう。そんな印象なのだ。
 
 一方の小沢一郎の表情は、何故通じぬというジレンマに打ち震える苛立ちの表情。だがそれは与党と野党だからであり、こういう形での自民党との対峙を選択したときから判っているのに、何故この人はこの時点に於いてもこういう表情を見せるのだろうかと不思議に思う。集大成はあと少しで、選挙で自民党の下野を実現させればいいのだし、そのためには足を引っ張ることだけやっていればいい。普通はそれだと批判を浴びるが、今となっては批判の矛先は常に総理に向かっている。だからこの場では当たり障りのない状況批判をすればいいだけのこと。もちろんそれもやってはいたものの、それだけではなく、最後の部分で特に、麻生太郎を諫めるような言葉を吐いた。それが小沢一郎のいいところでもあり、弱いところでもあるだろうと思う。
 
 要するに小沢一郎は頑固オヤジの役割にこそ自分の価値を見出す人なのかもしれない。そして麻生太郎にはそういう頑固なことを言ってくれる側近がいなくて、うわべの笑みと裏での陰口を繰り返す人ばかりに囲まれてしまっていることが悲劇なのだ。本当ならうるさいことを言ってくれる人の意見を聞きながら、重い政治家に成長することも出来たのだろうが、今日の討論を見ている限り、小さな筋論で本筋の信念を覆い隠し、そして覆い隠すことの正当性を探すのに汲々としているように見えてしまうのだ。
 
 そんなふうに見えたのは、最後の方で「政治家の言葉の重みをもっと大事にしなければいけない(小沢)」「不適切な発言については誤解を生んでしまったようだから謝罪撤回させていただいている(麻生)」「そうではなくて、国民に対して言ったこと、政略よりも政策だというのなら、それを実行するために邁進していかなければ国民に対して責任ある政治家とは言えない(小沢)」といった内容の部分。まあ聞き覚えだから多少間違いもあるかもしれない。ただ、この部分で、麻生太郎という人に対して、小沢一郎は(不覚にも)まだまだ期待をしてしまっていて、何らかのサジェスチョンを与えたいと本気で思っているんじゃないだろうかとか感じてしまった。それに対して麻生さんは、小沢さんのことを「参議院で多数を持っているから頭を下げるけれど、本気で頭なんて下げませんよ、俺は総理大臣ですよ」とでも思っているかのように映った。なんか同じ次元での討論ではないように感じてしまったのだった。