Tuesday, November 02, 2010

20周年ベスト解説〜「夢を見る間に抱きしめて」Myst.


(上記バナーをクリックすると本日の曲をお聴きいただけます)



20周年を記念した3枚組ベストアルバムをリリースすることになった。毎日、1曲ずつ紹介しています。1日限定で楽曲をアップしていきますので、よろしければお聴き下さい。(曲は毎日変わります。次の解説ブログがアップすると、このページの楽曲も新しいものに変わってしまいますのでご了承下さい。)

12. 「夢を見る間に抱きしめて」Myst.(2003年「一身上の都合により・・・」KRCL-61)

 侍の格好をして歌うという、ある種コスプレバンドとして活動しているMYST.。ボーカルの佳上くんのソロユニットで、彼自身が居合いをやっていることから、侍ファッションの展開を始めることになった。そもそも楽曲はハードロックを基調としながらの王道ポップで、それと侍パフォーマンスとのギャップ感が人の目を引いているけれど、そういう飛び道具がなくても十分に通用する歌唱力とポップセンスをもっている。もちろん実力だけで通用するほど甘い世界ではないのだが。普通のバンドがライブハウスのブッキングを中心に活動しているのとは違っていて、そのユニークな活動は僕にとっても参考になる。
 佳上くんはとても理論派で、ただやみくもに活動していても仕方ないと、自分の音楽性や年齢などを考慮した独自のマーケティングを考案、実践している。その内容は一種の企業秘密なのでここで公言するわけにはいかないし、きっと僕にも伝わっていない秘伝があるに違いない。そのマーケティング理論により、着実にお客さんが増えているし、大ヒットといかなくても収益はプラスになっている。しかもバンドメンバーはボランティアではなく、佳上くん以外のミュージシャンにはギャラを支払ってなお黒字というから恐れ入る。多くのバンドがそうであるような、ただ夢を見て活動し、玉砕覚悟の展開とはまったく一線を画している。
 この曲は1stアルバムに収録されたMYST.の代表作中の代表作。今もライブではアンコールなど重要なポイントで歌われている。ニュートラルな歌い方よりも少しだけクドいとも思われるような節回しが特徴でもあり、耳にするだけで「あ、佳上くんの歌だな」と判る。敬遠する人もいるだろうが、一度ハマると中毒的にまた聴きたくなる。そんな歌である。クセや特徴があるというのは、アーチストにとっては重要なことだ。
 そんなMYST.、新譜「在」が先月リリースされたばかり。その勢いはまったく衰えることなく続いている、頼もしい存在だ。