Saturday, October 30, 2010

20周年ベスト解説〜「風にのれない天使」Southside Mama


(上記バナーをクリックすると本日の曲をお聴きいただけます)



20周年を記念した3枚組ベストアルバムをリリースすることになった。毎日、1曲ずつ紹介しています。1日限定で楽曲をアップしていきますので、よろしければお聴き下さい。(曲は毎日変わります。次の解説ブログがアップすると、このページの楽曲も新しいものに変わってしまいますのでご了承下さい。)

10. 「風にのれない天使」Southside Mama(1994年「Forever Blue」KRCL-4)
 僕がビクターを辞めてキラキラに専念し始めてすぐに出会ったロックバンドSouthside Mama。新人発掘をしないといけないから、まずはオムニバスアルバムを作ろうということでバンドを募集して、武蔵小山の喫茶店でミーティングをしたのが最初。そんじょそこらの女子よりも長い髪をした菅野くんと谷口くんが小さなテーブル席には似合わなかったのが今も目に焼き付いている。アンバランスだったなあ。
 当時は僕もレーベル業とは何なのかがあまりよく分かってなくて、でもなんか迫力あるし、年間80本くらいライブをやっているという勢いに惚れて「やろう」ということになった。ビクターを辞める直前に導入したMacでいわゆるDTPをやった最初だった。沢山写真を撮ってスキャンし、ごみ取りをし、レイアウトした。彼らのジャケットが2色印刷なのは、単にお金が無かったからである。それでも彼らのアメリカンロックな佇まいのおかげで、モノクロっぽいデザインもさまになった。今では自由に生成出来るバーコードのデータも、データ出力会社に頼んでフィルムで出して、それを印刷会社で入れてもらったりした。なつかしい話だ。
 当時の僕はヒマだったのと機動力があったのとで、大阪のライブにも同行したりした。突然神戸のライブハウスの楽屋に顔を出し、メンバーもビックリしながらも歓迎してくれたりで、そういうのがバンドとレーベルの絆を深めていくんだなあということも実感した。現在とは状況も違っているし、同じようなことをすることも難しいが、それでも直接の触れ合いが大切なのは変わっていないと思う。激しいライブが信条だった彼らだが、泣かせるバラードなど幅広いレパートリーで、ファンは多かった。後に音楽評論の世界でちょっとだけ頭角を現すイノマー氏が吉祥寺曼荼羅に現れて「ファンです」って言って来た時には、なんかヤバい人が来たなあと思ったけれど、要するにロックを愛する人に愛されていたバンドだったのだ。売れたかというとそんなに売れなかったけれど、彼らと一緒に動いた2年間で、キラキラレコードの活動ペースとか、方向性とかが少しずつ固まっていったような気がする。