Tuesday, December 16, 2008

俺聴き:2008年12月10日渋谷タワレコ(Vol.3)

先日のブログの続き。俺聴きという勝手に試聴機を聴く企画で12月10日に渋谷タワレコで聴いたCDの感想第3弾で今回の試聴分は終わりです。



秀吉/へそのお
 これ、イイね。歌モノとロックの中間を行くようなジャンルだと思うが、演奏は結構激しい。彼の歌にこの演奏のテイストは合ってないと僕は思うのだが、その激しさにも負けていない、歌の芯の強さというものを感じる。今売り出しのソウルシンガー清水翔太なんかにも全然負けていない、質の高いボーカリストだと思う。だが、このバンドの名前と、CDのジャケットのほのぼの感が、きっと彼のことを誤解させてしまうし、そして将来的には足を引っ張っていくような気がしてならないのである。


二階堂和美/ニカセトラ
 買うとしたら基本的にジャケ買いの世界。それほどにインパクトもあって手元に置きたいなと思うジャケットではある。で、内容はカバー集。選曲はいい。本人の選なのだろうか? 1曲目に蘇州夜曲を持ってくる辺りが、なんか業界人のあざとさを感じてしまい、本人の選ではないんじゃないかとか勘ぐってしまうし、歌を聴く限りに於いては、彼女はそんなあざとさを持ち得ない、自然人じゃないかと思ってしまう。
 で、内容なんだが、なんか雑多。カバー集っていうとひとつのテイストでいろいろな曲を聴けるなという喜びがあると思うのだけれど、同じ人が歌っているとは思えないくらい、自由で過激。ライブ的なものがあったりするし、オリジナルを崩すっていってもここまでやるかよって感じの曲もあったりするし、なんか聴いていて落ち着かない。バラエティというのではなく、バイオレンスな印象だ。これをずっと通して聴くのは聴く側にも力がいるし、僕にはそんな力がなくてもいいなと思う。もし予算的にお金持ちだったら、2曲目の「話しかけたかった」を聴くためだけに買っても悪くはないと個人的に思う。
 
 

福原美穂/Love~Winter Song
 なんかのドラマの主題歌だというシールが貼ってある。ジャケの写真はなんか森泉みたいな感じだが、この人、力あると思う。聴いていて凄く惹かれてしまう。3曲(タイトル曲のインストも収録だが、これはここでは曲数としてカウントせず)入りなのだが、それらのテイストは全部まるっきり違うといっても過言ではないだろう。だけど、全体に芯が通っている感じがするのは、きっと彼女のボーカル力がストーンとこの3曲を貫いているからなのだろう。これがシングルじゃなければ買いだなと思う。アルバムが出るのを待ちたい。
 
 


 この俺聴きブログ、アップするといろいろと見に来てもらって嬉しい。と同時に明らかに関連アーチストの検索でここに辿り着いている人がいるようで、その人たちに対して申し訳ない気持ちもある。
 
 僕もインディーズレーベルを運営していて、所属アーチストたちが日々どのようにやって作品を作っているのかということも知っているし、なかなか思うように音を出せないながらも締切とかあったりして、「これが今の自分たちのすべてなんだ」という感じで世の中に作品を出しているのが現実だ。それを売っている自分の見方も、愛情を持って彼らの中の良いところを理解してもらえるように訴える毎日だったりする。だから、何も知らないあまり関係のない人が誤解に基づいて勝手な非難なんかをしていたとしたら、ちょっと待ってよ、ちゃんと聴いてよとか言いたくもなる。じゃあ今僕がやっていることはどうなんだ、誤解に基づく非難とは違うのかという自問自答は常にあるし、取り上げられたアーチストのファンたちからすると「ふざけんな」というようなことを書いてしまっているかもしれないとも思う。
 
 だが、世の中に作品を出すということは、評価に曝されるということでもあるのだ。インディーズの売れないアーチストの悲劇は、非難を受けることではなく、その非難さえされるチャンスに恵まれないということなのである。事実レコード店の試聴機に入るということはそう簡単なことではなく、僕にこうやって感想を書かれているというのは、前提として試聴機に入っている、レコード店の人にそこまで認められているということがあるのだ。そういう状態になれば、批評を受けるのは当たり前だ。それは普通に聴いてくれる若者が「これ、つまんねー」とか心の中で思うこともそうだし、僕みたいなのがあーだこーだといってブログに書くこともそうなのだ。趣味とか、得意なジャンルとか、それまでの音楽のバックグラウンドとかによっても感想は変わるし、その時の気分なんかによっても大きく左右される。だからどんな音楽でも良いという評価と悪いという評価に分かれるのが普通であり、だとすれば僕にこうして良く書かれたり悪く書かれたりしたからといって一喜一憂しないで欲しいと願う。願ったところでどう思われても仕方ないのだが。
 
 キラキラレコードに所属するバンドにいつも言うのは、批判を恐れるなということである。批判を恐れれば、トゲのない丸い音楽しか作れなくなる。それはつまらないじゃないか。思いっきり蔑まれるくらいで丁度良いと言っている。その根拠は、売れているモノほど叩かれるということだ。おそらく今の日本でもっとも叩かれているのは浜崎あゆみだったり倖田來未だったりするだろう。だが、そういう音楽がもっとも売れているのも事実だ。それは彼女たちの音楽にはなにか引っかかるものがあるからで、その引っかかり方が、ある人には素晴らしいものとして残り、別のある人にはクダラナイものとして残るだけのことだ。引っかかるものがない音楽など、結局誰の心にも止まることなく、良いとも悪いとも言われずに消えていくだけのことだ。
 
 
 そもそも、僕の発言に影響力などまだまだないのであって、気にするほどのことじゃないですよと、どうかわかって、見逃して欲しいところです。