Thursday, December 18, 2008

最後の初恋



 映画『最後の初恋』を観る。目黒シネマにて。原題は"Nights in Rodanthe"。"The Notebook"、"Message in a Bottle"、"A Walk to Remember"等の映画化作品を持つニコラス・スパークスの原作による作品。個人的には"The Notebook"(邦題は『きみに読む物語』)の予告編がとても好きで、実際に映画を観るとそこまでではなかったという印象がある。非常に物語らしい物語で、そうなるだろうと思っていたらそうなっていくという感じで、しかもドラマチックな方向に方向にという流れがある、そういう作品だったのだ。ニコラス・スパークスという作家はそういう作家だと言ってもいいのだろう。ただ、そういう言い方をするとありきたりな話しか書けないダメ作家というような印象を与えてしまう恐れがある。だがそういうダメ作家が次々とヒット作を出し、洋書コーナーでドーンと作品が展開されているという状況など生まれるはずがない。だとすると、文章力が優れているのだと解釈すべきであり、映画で原作を云々するというのは初めから意味がないことだと言ってもいいのかもしれない。
 
 で、今回の映画はリチャードギアとダイアンレインが主役で、恋に落ちる2人を演じる。恋に落ちるとか書くとネタバレだと言われるかもしれないが、このタイトルで主役級がこの2人しかいなくて、恋に落ちずにどういうストーリーが? というわけで恋に落ちると堂々と書くが、別にストーリーをどうこう言うつもりなどはない。僕がこのブログで触れたいのは役者のことだ。リチャードギアはどちらかというと好きな俳優だが、好きになったきっかけはプリティーウーマン。そりゃあジュリアロバーツの方がより好きになったわけだが、リチャードギアも好きになった。強そうだけれど弱さも持っているという役をやらせたらはまり役だなと思うのだが、この作品を観ていて、「あれ、なんでリチャードギアって2枚目俳優としてやっていけているんだろう?」と思った。鼻が大きく、目は小さく、どこにイケメンの風格があるのかと正直疑問である。これならガンバ大阪の遠藤の方がイケメンだぞ。いや、どちらも違うという例えでということでね。
 
 ダイアンレインの娘を演じているメイ・ホイットマンという女優さんがいるのだが、僕はこの人に好感を持った。決して美人とかではない。どちらかというと将来が危ぶまれるようなルックスでもある。だが、演技は非常に優れている。冒頭では憎ったらしいなあという気持ちにさせられるし、途中で母親の異変に直面して成長する姿を、僅かな出演シーンで感じさせるし、なんか、力があるなあと思ったのである。この映画ではあるシーンで主演のダイアンレインが感情の揺れを爆発させるのだが、そこはそれなりの長回しで彼女の演技にすべてを任せるようになっている。そういうところに象徴されるように、全体的に編集力よりも演技力に比重が置かれている映画だと思う。それだから、メイ・ホイットマンの力も伝わったのだろうし、主役の2人の力によって平均並みよりちょっと下という程度の面白さになったのだろうとか、勝手ながら思った。
 
 音楽はとても良かった。だからリンクはサントラにしました。