Thursday, January 15, 2009

俺聴き:2009年1月12日新宿タワレコ(Vol.3)


シリアルTVドラマ/『シリアルキラー』
「次世代を担うギターロックバンドの大本命!!!!」

 いやあ、これはイイ。でも普通。タワレコもこれを25連の試聴機の21番目とかに入れるのではなくて、1〜3番目くらいに出してもっと大きなポップとかつければいいのにと思う。声質にパンチが乏しい。彼らがスピッツくらいになるかどうかは、もう少しトゲのある楽曲を作ったり活動をしたりして一般に対して引っかかりを作り、それで注目を浴びたところで彼らの哲学のようなものを発揮できるかにかかっていると思う。今はその可能性は秘めているものの、トゲとか哲学といったものを出しているとまでは言えない状態だと思われる。
買うにはまだまだだ。




THE NOVEMBERS/『THE NOVEMBERS』
「始まった瞬間に吸い込まれる音・世界」

 JAPANにも取り上げられているということだが、割と普通。僕は日本のバンドに、これからの「種」のようなものを期待していて、でも種よりも枝葉を先に欲していて、それを先に実現させているような感じ。ギターはカッコイイし、非の打ち所はないのだけれど、この程度ならたくさんいると思う。
 
 

MASS OF THE FERMENTING DREGS/『MASS OF THE FERMENTING DREGS』
「各方面で絶賛!! 轟音♀3ピースバンド」
 神戸で結成した女性3ピースバンド。たしかに轟音で気持ちが良い。もっと声が太ければいいのになと思ってちょっと残念。というのは、基本的に言葉数が少なく、音符的に白玉的な長い音で伸ばしているのが多く、声の太さが無いとこの轟音ギターに負けてしまうからだ。この声質とバランスでいくなら、言葉を詰め込んで、畳み掛けるようにしたらもっとカッコよくなると思う。それにしても6曲入りでインスト2曲って、問題あるんじゃないかと思う。買いたいと思ってもちょっと引くと思うのだよ。
 それにこれ、印刷されているところによると2008年の1月発売ということになっていて、だとすると1年前のCDをレコメンドしていることになっていて、なんか羨ましいなとか思った。発売してしばらくが店頭での勝負なんじゃないだろうか。そうではなくて、年間を通して売れ続けているということなのだろうか。そういう売れ方をして、こういう取り上げられ方をしているのなら素晴らしいと思う。
 
 

嘘つきバービー/『問題のセカンド』

 確かに問題児ですな。アクが強い。現代に「アンダーグラウンドシーン」というものがあるのなら、確実に支持を集めるだろう。彼らの場合、1度ライブを見てからCDを買うかを決めたいものだと思う。音楽的な力もあるし、ジャンルは微妙に違うが、昔のレピッシュが与えたようなインパクトは持っている。乗れるし踊れるし、楽しめるが何度も聴きたいかというとちょっと疑問だ。多分だが、彼らにとって必要なのは判りやすいキーワードなのだろうと思う。現時点ではとにかく混沌とした溢れるエネルギーなのだ。しかし、エネルギーというのは非常に漠然として掴みにくいものでもあり、だからそれを具体的に判りやすい形に抽出するという作業こそが大切なのだ。これまた古い話だが、泉谷しげるが「黒いカバン」という歌を歌って、彼の過激さを判りやすくイメージさせたのであって、あれが無ければただのうるさい歌唄いでしかなかったかもしれない。同じように、現在はただの「問題児」でしかない彼らも、そういう具体的なシンボルのような楽曲をどう出せるのかというところに将来がかかっているように思う。ただ、見ている限りでは常識とか形というものをいかに裏切るのかということに執着しているようであり、それこそが彼らの存在意義であると考えているようにさえ思われる。しかしそれはリスナーの想像を超える裏切りのようであって、実はそのルールに縛られているということもいえるのだ。要は、売れたものが勝ちであって、その先にしか、真の自由は無いのだということに気づきさえすれば、彼らの反骨精神をベースにどんどん自由に成長していってくれるかもしれないなとか、ちょっと期待したくなるような、そんなアルバムであった。