Sunday, February 08, 2009

やる気って何?


 金曜日にSTONE FREEのみんながやって来た。先週、僕が身内の不幸で豊橋に行っている日に、彼らはライブをやっていた。本当は行きたかったところで残念だったが、そのライブの報告をしに来てくれたのだった。
 
 そのライブはメジャーデビューしているバンドも出演するイベントで、彼らとしてもかなりの意気込みをもって取り組んできた。それで自分たちでも満足するくらいのパフォーマンスと動員を実現できたと胸を張る。もちろんそこがゴールではないのだから安心してはいけないけれども、1つ1つの取り組みがこうして満足して次に行くというのは大切なことだ。ライブ会場ではCDを売るための作業もぬかりなく、まさに彼らは僕が日々主張している、やる気と実行を着実に進めているという意味で、非常に頼もしいバンドだと感じる。事実昨年のCD売上げでみてもキラキラレコードの中ではトップだし、CDを買ってくれているお客さんの層も、その大半は1年前には彼らのことなんて知らない人たちだ。まさにこの1年で大きく伸びたバンドといえる。
 
 大きく伸びたというのはどういうことかというと、端的に言うと状況が変わったということなのだが、その状況を作ったのは彼ら自身である。彼らに言わせると僕からいろいろなことをアドバイスされて、それで取り組み方も違ってきたし、なにより取り組む意欲が違ってきたということだ。いつも僕は取り組むことの意義とか方法論を論理的に、言い換えれば理屈っぽく説明するのだが、それを面倒臭いと思う人もいれば、疑ってかかる人もいるし、もっと他のやり方もあるはずと考える人もいる。それで他のやり方を明確にしてきちんと実践していくのならいいのだけれど、しかし多くの人は他のやり方を探すことをしなかったり、自分勝手な解釈で我流になり僕のやり方の筋を外れてしまったりする。それで結局僕のやり方なんて意味がないとか批判されることもある。まあ批判するのは自由だし、そんなことで僕が凹んだりはしないのだが、彼らが他人のせいにして成功を逃してしまっているのは、音楽的な才能があればあるほど可哀相に思ったりするのだ。
 
 そんな中、STONE FREEのみんなはかなり僕の意見を取り入れて頑張っている。時として方向性がずれていったりもするけれど、今回のようにちょくちょく会社にやってきてはミーティングをして、方向性を修正していく。今回もいくつかのアドバイスができたし、彼らの意気込みを再確認できたし、とても有意義なミーティングだと感じたのである。
 
 
 そんな中、つい先日別のバンドとのミーティングが会社で行われた。キラキラレコードの姿勢というのはバンドマンに対して少しだけ高いハードルを提示して、それを超えてもらうことで徐々にレベルを上げていってもらうというもので、そのハードルを事前に提示していたのだが、彼らは「それは努力すべきことではない」と反論してきた。まだ契約前の段階なので、それを否定されたらその先には進めないわけで、彼らとはそれでミーティング終了になったのだが、勢いもあったしガッツも見せていた分だけ、なんか悲しい気持ちになった。「本気で頑張るつもりだし、気合いはものすごく入っているんだけれど、そんなところで苦労するのは何か違うと思う」というのが彼らの意見だ。じゃあどんなところで苦労するのか? それはこれからの彼らの活動で示すしかないのだし、もしも頭角を現してくれれば、その時にキラキラレコードは「ああ、あの時もっと別の提案ができなかったのか」とか思って悔しがるのだろうし、彼らが今のまま成長をできずに解散とかになれば、彼ら自身が「ああ、あの時にもっと根性入れてやっていけば良かったのかもしれない」と悔しがるのだろう。もちろんそれはキラキラレコードに従うということではなくて、それ以外であったとしてもいい戦略を立てて頑張るという意味を込めての話である。もっともそういう事態になったとしても、そのことを僕が知ることはまず無いのだろうけれども。
 
 沢山考えるのはいいことだ。だが考えすぎて迷ってしまったり、結局何も始められないこととかあるんだっていうことも知っておいて損はない。適度に楽観的に、6割くらいの納得でとにかく前進してしまう人の方が結局は多くの成果を挙げることは少なくないと思うのだ。急いては事をし損じるが、下手な考え休むに似たりでもある。