Friday, February 13, 2009

セサミン

 サントリーの栄養補助食品、セサミンのCMが最近盛んだ。ちょっと前は登山家、というより冒険家というべきだろうか、三浦雄一郎氏が町を歩きながらトレーニングしているCMを流していて、最近はバレリーナの草刈民代さんが踊っているCMが流されている。三浦さんの肉体の凄さは実績で証明されている。75歳でエベレスト登頂を果たしたのはつい昨年のことだが、そんなことは年代にかかわらず偉業で、それを支えているのは間違いなく超健康な肉体だ。草刈民代さんのばあい、スラッとしているから判りにくかったが、だからこのバレエの映像なのだろう。微妙に肉体を震わせながらの演技。見るからに「鍛えられているなあ」と思わずにはいられない。彼女もまた40を超えてのこの肉体。憧れる人も少なくないだろう。
 
 で、そんな超健康体の2人が薦めるのがセサミンだ。ごまのパワーをいただこうという健康補助食品。このCMを見ると「セサミンを飲めば健康になれるんだ」と思うだろう。それが理解なのか誤解なのかは別として。
 
 いうまでもないことだが、この2人は不断の努力で肉体を鍛えている人だ。それもある種の究極の肉体を目指しての鍛錬だ。きっとあらゆることに取り組んでいるだろう。結果としてその肉体を手に入れているのである。そういうある種の究極を得るには本当に手段を選んではいられない。今よりも良くなる可能性があるなら藁にもすがろうというものである。セサミンはそのひとつに過ぎない。もちろんこれはきっと良いものだ。いや、そんな断言はできないな。良いものかもしれない。悪くはないだろう。根拠はないけれど。まあその程度の認識でしかないが、まあここでは良いものだと仮定しての話を進める。CMを見る人たちもほとんどが良いものと認識するだろうし、買う人は「これを飲めば健康になれるんだ!」と思うのだろう。だが、これを飲みながらも全然健康にならない人もたくさんいると思う。
 
 それはダイエットにもいえることで、巷に溢れるダイエット方に共通するのは「これを実践すれば痩せる」ではなく、「これは痩せるのに有効なエッセンスを持っている」ということである。つまり、それをやって痩せた人はいるわけで、だがそういう成功者たちは痩せるために本当に真剣になっているということだ。痩せたいという思いは多くの人が持っている。でもどうすれば痩せるのかという理論が判らなかったりする。絶食は続かない。人間はそれでは生きていけないからだ。だからといって飽食では痩せるはずがない。ではどのくらいの食事が理論的に痩せにつながるのかという知識が必要だ。食事だけではなく、どのようなトレーニングが有効になるのか。それも知りたいところだろう。そういう知識があって、それを実践する努力があって、結果が減量なのだ。食事とトレーニング。それが基本なのだが、それにプラスして努力をより効果的に結果に結びつけるための「なにか」を人は求めたい。で、りんごダイエットとかバナナダイエットとかいう不可思議なものが出てくる。それにも意味は必ずあるし、効用もある。しかし、だからといってバナナだけ食べていて痩せられるかというとそうではない。
 
 バンドマンたちからもよく言われることが、「で、キラキラレコードは僕らの成功のために何をしてくれるんですか」である。確かに僕らも仕事をしている。所属アーチストの成功のためにやっているし、願っている。だが、僕らの仕事というものはいってみればこのセサミンのようなもので、万能の特効薬なんかではない。バンドがどうやれば成功するのか、その処方箋は出せる。それは確実に出せる。でもそれは、それを実践できるバンドにしか効かないものであって、実践もせずに家でゴロゴロしていて成果が出ると思っていたのだとしたら甘いし、いつまで経っても成功なんて夢のまた夢だ。
 
 しかしながら、そういう実践しない人ほど文句を言うのだな。バンドマンたちからも苦情は日常茶飯事だ。だが、文句を言うバンドはなんの実践もせずに日々を過ごしている。しかし一方で地道にも実践を繰り返しているバンドは着実に結果を出しているし、感謝の言葉を返してくれたりする。まあそんな言葉なんて要らないし、彼らの頑張りがレーベルの売上げにもつながるので、そちらの方で言葉以上に手応えを実感できるのだが。
 
 三浦氏や草刈さんなどは、セサミンが無くても高度な肉体を作ることが出来る人であり、努力であると思う。そういう人達があともう少しを得ようとして、こういうものもちゃんと吟味した上で摂取しようとするのだろう。同じようなレベルとまではいかなくても、多くのバンドマンもそういう努力を普段からしていって欲しいと思う。三浦市や草刈さんというのはその業界でもトップの人であり、音楽業界でいえばあゆであり、ミスチルであり、サザンなのだ。そこまでいくのは努力だけでは足りないだろうが、目指すべきはとりあえずメジャーデビューだろう。そのくらいだったら、努力すれば誰だって出来る。そのことを信じられれば努力も出来るだろうし、それが信じられないのなら、努力も出来ないはずである。そしてその「しんじるべきもの」というのは、他ならぬ自分の音楽そのものなのだから。その上であとちょっとのプラスαを得たいんだったら、キラキラレコードは非常にお役に立てると思うし、それによってレーベルの利益も上げていける自負がある。だが、最初から全部お任せで成功を待つだけのような人は、考えを改めて欲しいなとか思ったりするのだ。