Sunday, March 15, 2009

決算は結局どうなるのか

 年を越す頃あたりから各企業は今年度の業績予測を次々と下方修正してきた。その最大の理由は円高である。詳しい数値は今僕の手元にはないが、1円高くなると数億円とか数十億円とか、数百億円とか売り上げが変わってくるとか何とか。各企業1ドル100円で業績予測をしてきたのに、昨年末には87円とかだったし、90円を割る(超える?)ともう利益確保は出来ないんです。そんなことが年度の予測を下方修正する理由となったし、それで急速にリストラしなければということになったし、派遣労働者がたくさんクビ切られたし、それでも赤字で困ってるよーってニュースがどんどん流された。
 
 そういうニュースは派遣を切られて寮を追い出されて、この寒い冬にホームレスになったり派遣村なる場所に集ったり、デモとかでシュプレヒコ−ル挙げてたりという情緒的な映像に変化していった。かわいそうだよ派遣の方々。会社は酷いね。いや、そもそも派遣なんかでやっていけるって思っていたのが慢心なんだよ。会社は派遣切らないと会社自体がつぶれて正社員が路頭に迷う。そんなこと避けるためには派遣なんてどうなってもいいのだ。ま、いろいろとホントに情緒的に話題になりやすいことばかりがニュースになった。
 
 で、肝心の業績はどうなったんだろう。もうすぐ決算を迎える企業も多い。業績予測はあたったのか?
 
 国際的に貿易をやっている会社で、支払いをドル建てでやっている場合には売上金がドルで入ってくる。それをすぐに円に替えるのかというと、そんなことはないだろう。やはりドルで持っているのだ。なぜなら資材の購入なんかだって海外との取引だし、そのためにはやはりドルは必要だ。全額とはいわないにしてもドルをある程度そのまま持っているはずである。決算のときにはそれを日本円に換算して計算することになるはず。会社の持っている資本とは、全てが日本円の現金ではない。建物なんかの不動産も、社内にある机とかコンピュータなんかも、資産だ。販売前の在庫も資産だし、預貯金は現金性が高いが、株式なんかは現金ではない。それらも全て資産になる。そこにはまだ入金されていない掛け売りの残高なんかも入ってくる。そういったものを、一定のルールで日本円に換算して、一体どのくらいの金額の価値を持っているのかを計算するのが決算だ。だとしたら、慌てていた87円くらいの時期にドルを円に換算したのではなく、同じようにドルで持ち続けていただけのことで、現在のレートで換算して計算すると結果は当然違ってくる。
 
 それで、今現在のレートとは、だいたい98円あたりで推移している。100円は割れているが、87円とかの頃と較べると全然状況はいいはずだ。そして、決算が3月末に行われる企業であれば、年末に出していた業績予測の下方修正は、本決算で今度は上方修正がされてしかるべきである。そうなれば、結局大リストラをすべきだった根拠も乏しくなる訳で、もう一度雇ってくれてもいいんじゃないかという気が正直するのだ。しかし全世界的な不況が続いているのは事実だし、一度スリム化できた人事構成をもう一度元に戻すなんてことは企業として賢いとはいえず、だから誰もそのことを言わないし、マスコミも報じない。でも、それでも人の人生を左右するようなことをするときに、その行為を正当化するために使った理由が消えてしまったのだったら、正しいこととしてはもう一度人生を元に戻すような努力をして、その上で今度はこの不況に対してどうしていけばいいのかを検討していくのが筋のように思うのだが、どうなんだろうか?