Tuesday, March 31, 2009

山形にて


 週末、高速1000円の値引きを利用して山形に向かった。昨年CDをリリースしたDAIZOと会うためだ。DAIZOは山形でピアノ弾き語りというスタイルで活動しているミュージシャン。山形限定での活動でありながら、じわじわと売れ続け、つい先日山形のホールで400人を集めたワンマンライブを成功させた。リリースする際に打ち合わせや作業などで2回上京してもらったものの、こちらからは山形に行くことがなかなか出来ず、今回ようやく山形まで向かうことが出来たという次第なのである。
 
 土曜日に仙台に入り、翌日曜日に山形に向かうという予定だった。山形よりも仙台の方がホテルも多く、そのため安く宿泊するには仙台の方がいいということでそうなったのだが、高速で仙台に向かっている途中、福島辺りで雪が降ってくる。おいおい、3月も終わりなんだぞとか思ったけれど、降ってくる雪は現実だ。そして福島から新潟に向かう道路や仙台から山形に向かう道路は、チェーン規制が行われていた。そんなことは考えてもいなかった僕はチェーンの準備をしていなかったし、このままでは山形に入ることは出来ない。
 
 それで、仙台市内でオートバックスによる。チェーンを買おうか、見てみたのだ。そしたらチェーンが置いていない。店員さんに聞いてみると「チェーン?」という感じだった。どうやら東北の人はチェーンをいちいち付けるのではなく、冬の間はスノータイヤなのだ。チェーンをほしがる人なんていないのだろう。それで、山形まで高速で行くのは断念するということになった。JRの仙山線に乗っていった訳だが、山を越す電車の外はもう雪山。目指す駅は山寺というところで、松尾芭蕉がどうしたこうしたというところらしい。もう雪。直前までネットで雪情報を確認して、なんとか車で行けないかとか思っていたのが大甘だったということを知る。DAIZOくんが車で迎えにきてくれていて、天童、そして東根へと向かった。
 
 山形は初めて訪れる場所で、思っていたのとは若干違っていた感じだったが、とてもいいところだった。空の色が違う。空気も澄んでいる。僕の故郷の福岡とも、奥さんの故郷の松阪とも違う。そばが美味しい。だがそれは一時的な滞在の人の見方であって、住んでいる人はまた違った思いがあるのだろう。その気持ちを本当に理解するのは難しいのかもしれないが、DAIZOくんと話をしていて、すごく前向きですべてを受け入れている感じが、なんか嬉しくなったのだ。DAIZOくんは大学で東京に来て住んでいた時期があり、それでも帰郷し、地元の企業に勤めることになった。地元の名産品を作る職人として働きながら、音楽にもしっかりと取り組んでいる。最初はそんなことは知らずに、送られてきたデモに惚れてCDリリースを決めたのだが、惚れるには理由がある。その理由の潜在的な背景まで認識できずに話を進めることも仕方ないことなのだろうが、リリースから半年が経過して、実際に彼の住む場所を訪れ、その場所でいろいろな話をすることで、自分の判断もそれなりに間違っていなかったんだな、彼みたいに地に足がついた音楽活動と、なにより生活をしている人のことを評価できた自分の感性も間違ってなかったんだなと、そう実感できた。
 
 帰りは再び仙山線で仙台まで。駅前の駐車場で車を出して、東北道で東京に帰る。実際に1500円とかの表示が出る料金所ではちょっと感動。安いというのはいいことだ。麻生政権の経済対策には決して賛同していないし、このままで国がいい方向に向かうとはとても思えないのだが、だからといって実施されたお得政策に抵抗する訳ではない。というかむしろ、高速道路が無料になることを将来的には望みたい。