Tuesday, April 28, 2009

バーン・アフター・リーディング

http://burn.gyao.jp/

 コーエン兄弟、この前はノーカントリーだったろう? マッカーシーだったろう? それからどうしてこんな、スチャラカな映画を作るんだろうって感じで、ちょっと面白かった。いや、くだらなかった。いや、くだらなくて素敵だった。ボタンの掛け違いで話は展開していくのだが、展開の中身を話してしまったら意味がないね。映像的な美しさとかを売る映画ではないから、展開が全てだ。この映画にブラッドピットとかジョージクルーニーなんてイケメン俳優が登場し、イケメンな感じとはまったく違うダメ人間ぶりを演じきる。イケメンが2枚目を演じているのは当たり前すぎるし、努力なんて全く必要がない。それは演じるスターにとっても成長がないし、もしも実力があるのであれば、その実力を発揮する場としては不適当だ。だから、こういう映画にこういう役で出る方が、彼らはその真価を発揮することが出来るし、出来なければ馬脚を現す結果になる。それゆえにチャレンジングであり同時にリスキーな出演だったといえるだろう。コーエン兄弟は彼ら自身のこれまでの成功があって、そういうキャスティングを可能にさせたと言えるのかもしれない。しかしながらそういう三枚目的な役にチャレンジしているのはいつもこのブラピとジョージクルーニーばかりだなという気がする。彼らはソダーバーグの作品などにも常連のように出演している。人的なつながりと仲間意識というものもあるだろうが、もっと他の役者も出てきていいんじゃないかなとか思う。もちろん作品も役も限られているので、出たくても出ることが出来ないのか、それともそもそも変わり者の俳優しか出たいとは思わないのか。ブラピたちは成功者であり、これに出たところで大作の主役から転げ落ちたという印象にはならないから出れるが、ギリギリの人が出たら「落ちぶれた」と思われてしまうのか。その辺はよくわからないけれども、もうそろそろ他の配役も考えていかないと、面白みは薄れていってしまうようにも思う。まあ余計なお世話だと思うけれども。

 なんか、見なくてもいい作品。それなりに面白いし、ブラピとクルーニーのダメ男ぶりは一見の価値あるかもしれないし、ストーリーも面白い。だが、2時間程度の面白さが終わった時に何かが残るかというと、何も残らない。映画とはそういうものだと思う人には十分な娯楽作品であるし、何か哲学とか教訓が絶対に必要だと思う人には確実に物足りない映画だと言える。

 僕は個人的には見て損したとは思っていないのだが。