Thursday, May 14, 2009

42000の支持


 清志郎の葬式には行かなかった。それはある意味当然だと思う。そんな資格は僕にはない。20年ほど前のRC時代に熱狂的に聴いていただけで、ソロとかの活動についてはほとんど聴いていない。というより、聴くことを拒絶していた。活動停止の経緯について腑に落ちぬ気持ちがあったからだ。今から思えばバカなことだと思う。漏れ伝わってくる情報なんてどこまで本当のことかわからないし、本当のことを知ったとしても、それはどうしようもない理由があったはず。現在たくさんのバンドたちと仕事をして、真剣だから衝突するということがあることも知った。無名のバンドとRCとを比べるのもおかしいが、しかしいずれにしても、バンドというのはとても微妙なバランスの上に成立している儚い存在で、だからこそそれが輝くのはとても幸せな瞬間なのであり、立ち会えることが幸運そのものなのだ。

 僕の当時の思いこみがどんなに愚かなものだったということを数万行語ったところで、この20年聴かなかったという事実は変わらない。やはり僕に青山に行く資格などないのである。

 では、青山斎場を埋め尽くした人たちにその資格はあったのか。42000という数字。これは正直驚いた。42000。炎天下を並んで粛々と別れを惜しんだ人たち。彼らのいったい何人くらいが最新作のCDを買ったのだろうか。もしも42000枚がコンスタントに売れるのなら、メジャー契約が切れることはなかっただろう。死んで悲しむくらいなら、生きてるうちにCDを買えよ。買わないくらいの自称ファンが行く場所ではないと思う。だけど現実には42000もの人々が集まったわけで、だからやはり行かなくて良かったと思う。ある人のブログには「この場にいられて幸せだった」と書かれていた。葬式だぞ。葬式で幸せって一体なんだよ。復活ライブ第二弾じゃなく、葬式なのだ。悲しくて悲しくてというのならまだしも、幸せって、何? そんな人たちと一緒にいることが僕にはとても苦痛だったはずだ。いや、そもそも僕には行く資格さえ最初から無かったわけだが。