Monday, July 06, 2009

都議選

 先週末から都議選が始まった。だが以外にも街は静かな印象がある。この週末に主立った繁華街にはそれほど行っていないからかもしれないが。

 それでも都議選が始まったなということを感じさせる出来事にはいくつか遭遇した。金曜日、所用あって新宿まで向かったのだが、途中歌舞伎町に異様な選挙カーがあった。車体には純粋無所属と書いてあって、選挙っぽくない若い女性の顔がドーンと。おいおい、あなたはどこかのお店に所属してるだろう、都議選期間中の一種のコスプレかと、ゆかた祭りとかみたいなイベントの宣伝なのかなあ、これは。しかし最近は美人政治家が流行りだから、そういう立候補者なのかなあ、でもそれだったら歌舞伎町に選挙カーを停めていたらいろいろ間違われるぞ、お店の人だって間違われるぞ、そして得票の妨げになるぞ、それでもいいのか。

 でも、選挙カーの窓には「選」の文字がついた布切れが貼られていた。この人はれっきとした都議会議員立候補者だったのだ。選挙区分のことはよく知らないが、新宿区の候補者ポスター掲示板にもその顔はアップで貼られている。元AV嬢とかなんとか、ネットのニュースでも派手に取り上げられていた。まあ、基本的には泡沫候補だ。歌舞伎町にはシングルマザーも多いので、保育施設を充実させるというのが選挙公約らしく、国政の傀儡になってしまっているような大風呂敷の公約を掲げている本命よりもよほど弱者の意見を代表してくれそうなまともな公約ではあるが、しかし50人の議席に対して70人が立候補するという区議会議員選挙ならともかく、都議会議員選挙というのは少々無鉄砲にも思ったりするが、どうなんだろう。それなりに健闘したりするのだろうか。だが、歌舞伎町にやってくるのは新宿区民だけじゃないからな。彼らが全員この地区の投票権を持っていたら若干話は違ってくるのかもしれないけれどな。

 そしてまた新宿から西早稲田の事務所まで歩いていると、あるポスター掲示板の前で不審な動きをしている人を発見。早速ポスターにいたずらでもしているのだろうか。Tシャツにジーパンという男は、隣に彼女とおぼしい女性を引き連れ、ポスターに巨大なホッチキスのような機械でガチャンと針を突き刺した。こ、こ、これは、公職選挙法違反行為の現行犯ではないか! でもなあ、やつの手には針を尽きさせるような機械があるわけだし、争って勝てる保証はない。しかも女性とはいえ2対1では明らかに不利だ。これは通り過ぎてしまおう。見なかったことにしよう。その時、男が振り返った。目が合った。しまった。が、それは候補者本人だった。

 なんか僕の方に軽い会釈をして、男女2人はチャリに乗ってつーっと行ってしまった。おそらく次の掲示板に向かっているのだろう。候補者本人は地図を見て「これから下っていきまーす」とか言っている。女性は「たいへんねー」とか言っている。いや、候補者本人がポスター貼らなきゃいけないんだったらきっと手が足りていないのだろうから、女性もただ一緒に回るんじゃなくて二手に分かれて貼り回った方が効率的なんじゃないかい。その辺が素人だなあと思った。やはり泡沫だと思う。泡沫であって欲しい。

 昨日の静岡県知事選挙では民主が応援する候補が勝利した。この地方選挙を国政のリトマス試験紙とするような報道の在り方はどうなのかとか思う。だって静岡の選挙が行われるようになった経緯はというと、例の静岡空港開港に巡る立ち木伐採問題だったわけであって、前知事が意地をはったりなんかしていた様が、県民にどう映ったのかということを考えると至極当然の結果だと思うし、それにしてはけっこう接戦だったように僕には見える。これをもって民主に風がというのは間違いであり、むしろ世にいわれている国政としての政党支持率の数字ほどの差がついていないということに、民主支持派は危機感を抱くべきだろう。また、都議選でも民主が圧勝だとか予想されたりしているが、そもそも民主候補が全員当選したところで議会の過半数は取れない人数しか立候補していないわけで、そういう意味では、都議選の結果はマスコミ的に民主圧勝という言葉にはつながらないということを考えると、1週間後のマスコミ報道がどうなるのかはまったくわからないと言えよう。

 それにしても週末の報道討論番組などでは自民が鳩山さんの故人献金問題をことさらに攻撃していて、とてもみっともないという気がする。というより底の浅さを自ら露呈しまくっているように思う。それで「あなたも次期総裁候補なんだから」とか言われて目尻を下げているようでは話にならない。この問題を取り上げまくるのは、法的にどう決着を付けるかではなくワイドショー的にわあわあ言っていればいいというものであって、国民の印象を操作しようというものにすぎない。だが、大半の国民は「自民の方が怪しい献金いっぱいあるじゃないか」ということは既に知っているのだ。それなのにこうやって自分のことは棚に上げているということは印象として深まっていくだけであろう。もちろん自民の人たちは法的に起訴とか逮捕されているわけではない。だとすれば鳩山さんの問題も逮捕なり起訴ということがあって初めて問題視すべきであって、そうならないうちに徹底的に問題にするなら、また起訴も逮捕もされていない大臣のことも徹底的に問題にすべきなのだが、それをしないのは明らかに不公平だし、そういう不公平なことをする人たちの集まり何だということを天下に曝しているようなものだと、気付いて欲しいのだ。そしてそれ以前に、やはり自分たちの語る未来を示すことが出来ない政党に、僕らは何も託せないのがとても寂しい気がする。