Friday, October 16, 2009

予算と報道

 まあどの報道も政権を批判しているね。政権とは権力であって批判されるべきものであり、その点では間違っていないといえるし、今回の概算要求は決して褒められたものではないようにも思う。だが、その報道の在り方が本当に正しいのかというのが、なんか疑問に思えてならない。

 どういうことかというと、本当に判で押したような横並びの上っ面な報道をしているということだ。今回の概算要求の数字を家計になぞらえて、「年収が480万円だった家が400万円の収入になる見込みなのに年間900万円を使おうと思っている、しかもその家庭には8000万円の借金があるのだ」という。この報道には、危機感を煽り、政権批判の風を作る以外に効能は無い。今回政権交代が起きたことによる最大のメリットは、これまで表に出てこなかったものが出てくるということであり、それによって僕らは正しい国の行き先を考えられるようになるかもしれないという期待があった。だがもちろん僕らが一人一人省庁に行って書類を見ることなど出来やしないのだから、そこをマスコミには期待したい、というよりやってもらわなければ困るのだ。だとすれば、彼らのやるべきことは新政権の批判を煽ることではなく、概算要求とは一体どういう内容なのかを明らかにしてもらうことだと思う。概算要求が90兆円を超えるというのなら、その内容が一体どのようなものなのか、すべてを出して、その上で「この項目はやはり必要だ」「これは要らないんじゃないか」というような分析を、各局各番組各新聞が行えばいいのだ。それはある意味うざい報道になるかもしれない。しかし新聞などでは毎日全株式の銘柄の値段が掲載されているし、大学入試のセンター試験が行われれば全問題が掲載されたりする。だったら年に1度くらいは予算についての詳細を掲載してもいいじゃないか。というよりすべきだと思う。なぜ各大臣はこの概算要求を認めることになったのか、その内容が判らなければこちらも彼らの仕事を理解できないし、そんな状態で批判するのは無責任だと思うのである。

 まあ確かにエキセントリックに批判報道をした方が盛り上がるし視聴率にもつながるのだろう。だけどそれをやっていたのでは何も変わらない。これで民主党への風当たりが強くなり、そのうちに自民党に再度政権が移ったとしても、自民も批判されて信頼を失うだろうし、第三極が台頭しても同じことになるだけだ。そんな堂々巡りをしていても何の進歩も無い。だとすれば、それぞれの良いところは良い、悪いところは悪いと、僕ら一人一人が判断出来るような、そういう素材を報道には提供してもらいたいのである。