Wednesday, October 28, 2009

哀れなジョー

 日本シリーズ第4戦、第5戦のチケットも手に入れた今、新聞紙面では巨人と日ハムの戦力分析など華やかになってきて、今年の野球も大詰めに入ってきたなあと嬉しい気分だ。日ハムはダルビッシュが難しい状況で、その点はジャイアンツに有利かもしれないが、一方巨人もグライシンガーがほぼ難しい状況になってきているのでその点も互角だと思う。個人的には巨人の4連勝が希望だが、そうそう簡単にもいくまい。CSでは野村楽天がミラクルを起こすかとか話題だったけれども、基本的にペナントで勝ち抜いてきているチームが勝たないとダメだろうと思う。そうでなければ面白くない。原ジャイアンツもペナント3連覇ながら、一昨年は中日に負け、昨年は西武に最終戦で負け、今年こそ日本一というのは一種悲願である。

 そんな中、なんとも白けた話題が舞い込んだ。城島の阪神入りのニュースである。大リーグに挑戦するのはいい。だが「そろそろ日本で、友人たちの近くでプレイしたいから」とかナンとか言って戻ってくるというのはどういうことかと思う。既に先人たちが切り開いた道を汚しながら歩いているような、そんな不愉快な気持ちになる。大リーグを世界一の場所だと思うか思わないかは人それぞれで、そう思う人をとやかく言おうとは思わない。だが自分たちを育ててくれた日本プロ野球を蔑ろにしてしまう行為だというのは事実だと思う。だからそれをやるときに日本のチームやファンを失望させているということを自覚する必要があると思う。それでも、行くのだ。だったら退路を断つ覚悟が必要だろう。そこで失敗しても日本に戻ってくればいいや。そんな考えが僕を白けさせる。大リーグのパイオニアだった野茂英雄は、もう日本には戻らないという覚悟をして、そしてそれを貫いた。第一FAも無かった頃のことで、大リーグに行くなら任意引退する必要があり、万一日本に帰るなら元いた球団に最優先交渉権があるという条件だった。そもそも日本に戻る気もなかったので意味も無い条項だったが、だが現在もそのときの背景にある精神は変わらないはずだと思う。

 だが、城島は帰ってくると言った。しかも友達のいる日本でと言った。それなのに、阪神だ。これがソフトバンクホークスが「要らない」と言っているならばまだしも、王さんが直々に交渉しているのだ。それで阪神入団って、しかも一度も住んだことのない関西でって、理解不能だ。決めた理由が「阪神が一番速く動いてくれたから」という。それでいて「自分はホークスに戻るものだと思っていた」とかいう。もう言っていることに一貫性がないし、だから会見の時の視線は虚ろだったように、視線が泳いでいたように見えたのかもしれない。

 巨人に骨を埋めると宣言し、解雇されてオリックスに行くことになった清原とはまったく違う。結局ホークスにもマリナーズにも愛着とか感謝とかはなかったんだな、この男は。そういう人がいくら活躍しようとも、そんなのは屁でもないと思う。阪神が生え抜きよりも移籍組というような、かつての巨人が批判され、そしてやはり結果が出せなかったような状態に陥っているのを見て、哀れだとも思う。WBCに監督自ら参加し、生え抜きの若手を育てた巨人、WBCに選手を1人も出さなかった姑息な中日、星野さんが今も暗躍して怪しげなチーム作りを繰り返す阪神。まあどこがいい結果を出すのかは最初から決まっていたようなものだ。その圧倒的な力の差で、日本シリーズ制覇の悲願をぜひとも達成してもらいたいものである。監督就任1年目でつかんでしまった日本一と違って、苦労を重ねてつかみ取った日本一は、きっと味わいも格別だろう。