Thursday, April 15, 2010

やくと朝と空

 最近のワイドショーかなんかで、天下りの酷い実態を紹介していた。なんでも日本の空港の経営はどこも赤字なのに、そのファミリー企業みたいな天下り団体が沢山あって、なかでも空港併設の駐車場を管理している会社は全国で170億だかなんだかの余剰金を溜め込んでいるらしい。ふざけんなと、言いたいよね。うんうん、そりゃ言いたいぞ。

 で、その天下り団体を無くしたり潰したりするのが民主党の役目だったはずなのに、そこに天下りしたい国土交通省の役人に乗せられてヤンバダムとかの人たちの抵抗に牙を抜かれる大臣とか、もうダメって感じ。もう天性のKYを発揮して、「作らんもんね、話し合いもしないもんね」とかいえば良かったのに。そうすれば男を上げられたのにね。でもそこは役人は上手いんだろうなあ。ああいうところにはさまざまなテーマがあって、どれもそれなりに大事だし、どのテーマにも反対や賛成があって、抵抗勢力も多かったりする。だから些細なテーマを持ってきて、その抵抗勢力にスポットを当てて、マスコミに食いつかせさえすれば、それで一丁上がりだ。世論の声が沸き起こる中、大臣もそんな些細なテーマの混乱に巻き込まれて、本来やるべきだったテーマには手つかずという状況に陥る。そうするとその原因を作ったマスコミの方々によって、「この大臣は何もしていない」とか揶揄される。挙げ句に「期待はずれ」と騒がれ、その騒いだ結果として「世論調査で支持率低下〜危険水域に」とか言われてしまう。

 だから、本来そんな外野の言うことに惑わされずに、自分の中で大切だと思われる優先順位に従って仕事をしていけば良いはずなのに、なかなかそれが出来ないんだろうなあ。外野の声に耳を貸さずにいると「独裁」とか言われるし、「説明責任を果たしていない」とか言われる。それでわいわいがやがや言って、また世論による「支持率低下」が持ち上がってくる。

 それを気にしすぎるようになると、それはようするに御用聞き政治になって、いわゆるポピュリズムということになってしまう。もちろんそんな単純な図式ではないことも判っている。だが、眼前の些事に国家百年の大計が左右されるようでは、やはり未来は暗くなるばかりだろう。僕らはもっと近視眼的な問題意識から脱却して、大きなことを考えられるようになることが問われているんじゃないだろうか。

 そのワイドショーで、空港駐車場の経営実態について振られたやくみつる氏が「知らない間にこんなことになっていたとは」と絶句していた。絶句もすべきだろう。国民がそういうことに関心が行かなかった大きな理由のひとつに、やく氏が朝青龍問題なんかを殊更に重大事件であるかのように騒ぎ、ワイドショーに火をつけ、メディアが大きな社会問題へ割くべき時間を減らさせたというのも絶対にあるのだから。