Monday, October 31, 2011

うれしいこと

 今週はうれしいことがあった。そのことを書こうか書くまいかずいぶん迷ってるうちにもう週末だ。書くなら今だ。今書かなきゃもう書けなくなる。だから、今日書こうと思う。

 でも、どんなうれしいことがあったのかは、幸せが逃げていくといけないのでないしょです。

 
 うれしいことが起きると、多くの人にそれを伝えたいという気持ちと、伝えてはいけないという気持ちとが交錯する。自分がどれだけうれしいのか、それを伝えることで他の人にも喜びが伝わっていくんじゃないかと思う。自分のことを判ってくれる人は自分の喜びを同じように喜んでくれるんじゃないかとも思う。だが一方で、自分だけがうれしいのではないか。世界にはうれしさの総量が決まっていて、だから自分がうれしくなると、その分誰かがうれしくなくなるんじゃないか。そんなことも思う。単純に全員がうれしくなってくれるのか、それとも単純に自分以外の全員がうれしさを喪失するのか。それがひとつに決まっているのなら簡単だ。しかし世の中はそんなに簡単じゃない。同じことをうれしがってくれる人とそうではない人がいるし、同じ人でもうれしく思われる出来事と嬉しく思われない出来事がある。時期や状況によってもそれは変わるのだ。

 子供の頃、福岡に住んでいた僕は家族で大分に旅行をしたことがある。2泊か3泊の旅行だ。ちょっとした遊園地もあり、温泉もあり、とても楽しい旅行だった。うれしくてよろこんで、でもそんな僕に父は言った。「楽しい旅行に行ったことを学校でみんなに自慢してはダメだ。儲かっていると思われてしまう。」どういうことなのかよくわからなかった。でも、その旅行のことを学校で言ったりしなかった。言ったらとても怖いことが起きるんじゃないかと、思うというより感じたのだ。

 今考えると、それは少しだけお店の経営が良くなってきた父の気負いだったのだろう。そこまで家族のうれしいことを秘密にする必要などなかったはずだ。今なら家族で東京ディズニーランドに九州から家族で行くのもそう珍しいことではない。家族での海外だって割と普通のことだ。うれしかったことを友達に話せないということを、当時の僕はなんかつまらないなあと思いながらも、社会のなにかに触れたような気がしていた。その旅行の最大の思い出は、九州一長いコースのゴーカートに乗ったことでもなければ、ミラーマンショーでもない。父が言った、旅行について学校で話すなということだった。

 うれしいことって、とても個人的なことでいいと思う。だから滅多矢鱈に吹聴してまわる必要なんてないのだ。

 そうこうしているうちに日付が変わってしまったよ。新しい週に突入してしまったけれども、これは10月24日から30日までの週に起こったうれしいことについての、個人的な文章でした。