Thursday, June 13, 2013

歩くこと

 昨年末の健康診断でちょっと太り過ぎだと指摘され、ダイエットに取り組んだ。

 やると決めたらとことんやる性格だからか、かなり順調に痩せ、年末には84.5kgあった体重も今や75kgをちょっと切るほどになった。もちろん食事制限もしていて、それが最大の要因ではあるのだが、それ以外にウォーキングが重要だったと思っている。毎日会社に行く時に、約6kmの道のりを歩いている。正確に何歩なのかはわからないけれど、一歩を60cmだとすれば100歩で60m、1万歩で6000mだ。だから朝の片道だけで1万歩を歩いているといえる。これに帰宅時に最寄りの駅まで約2kmを歩く。1日8kmほどを歩き続けている。

 休日はどうかというと、これはバラバラだ。しかし最近は土日のいずれかを0歳の息子と男同士の二人旅と称して午前中から出かける。バスなどにも乗るが基本はベビーカーを押していろいろと回る。京都は見るところがたくさんあるのでどこに行っても結構楽しい。先日は家から銀閣寺方面をうろうろし、最後は電車に乗ったもののそれで約7.8kmの散歩。さらには一度帰宅してから、いくつかの寄り道をしながら四条堀川のライブハウスまで徒歩移動。それが9.2km。帰りはバス停まで約1km。都合18kmも歩いてしまった。

 歩数のカウントは出来ないくせになんでそんなに距離がわかるのかと言えば、RunkeeperというiPhoneのアプリを使っているからだ。GPSを使って、自分がどこを歩いたのかが地図上のルートとして表示される。だから距離も正確にカウントされるし、おまけに1kmごとのラップタイムも表示される。これがいい。僕は普通だと1kmを10分半から11分半のペースで歩いている。これを9分台にしようとするとかなりの早足になる。仮に1kmを10分のペースで歩いたとしたら1時間で6km。マラソンの42.195kmを歩くには7時間20分かかる計算になる。それを2時間チョイで走るマラソンランナーはすごいなとあらためて思う。いちどは1日かけて42.195kmを歩いてみようとか思ってもみるけれど、7時間を同じペースで歩くのは多分無理だろうから、結局10時間くらいはかかることになるのではないだろうか。とか思ったりする。

 会社まで約6kmの道のりは、そのほとんどが鴨川の土手だ。高野川を下り、出町柳デルタで飛び石を渡り、丸太町橋までの約6km。自然の移り変わりを肌で感じながらのウォーキングだ。悪くない。むしろ楽しい。なぜ行きだけ歩くのかというと、行きの方が楽だからだ。仕事を終えて疲れているところで歩くのは大変だという意味もあるけれども、実際には高低差があるからだ。なだらかで平坦に見える川岸の道だが、川が流れるということは高低差があるということだ。確認はしていないが、知人の話によると京都駅付近と北山通りでは京都タワーよりも高低差があるそうだ。俄には信じられないし、実際僕もまだ信じてはいないのだが、川が流れる以上高低差は絶対にある。そこを上るよりは下る方が楽なのは間違いない。だから毎朝歩くことにしているのである。

 川にはいつも鳥がいる。鳥は川の上を飛ぶから、川岸にいる僕らはその姿を上から見ることができる。そういうのは京都に来るまでに見た覚えが無い。そもそも鳩とカラス以外の鳥を見る機会はほとんど無かった。なのに鴨が土手の道を歩いたりしている。普通のことだ。だがその普通のことを僕はほとんど知らずに生きてきた。先日は川に鹿がいた。奈良公園にいる、あの鹿だ。川の中で水浴びしたり、草を食ったりしていた。上流の山から紛れてきたのだろうか。ここが都会であるとは俄に信じ難いほどだ。

 草花もいろんな種類が時間差で咲いてくれる。桜と紅葉だけではないことを住むようになって初めて理解した。普通の人が普通に歩くところに、桃の木や枇杷の木があって、普通に実を付ける。今は枇杷が黄色い実をたわわに付けている。そういうのを眺めながらのウォーキングだから、楽しくないはずがない。だから続くのだと思う。東京にいた頃のウォーキングにはもう少し悲壮感があった。今は無い。確かに京都の夏は暑いし、汗をダラダラかきながら歩くのは少々しんどい。でもそれも季節を感じる一つの装置であって、それさえ楽しみながら、歩いているというのが本当のところだ。

 歩くことで、健康はすっかり取り戻した。心の栄養もたっぷり取れているという気がする。そして交通費が少し削減出来たという効用もあって、懐にもちょっとだけ嬉しい結果になっているのである。